ゴルゴ考査 傲慢編

ごうまん がう― 0 1 【▼傲慢】
(名・形動)[文]ナリ
思い上がって横柄なこと。人を見下して礼を欠くこと。また、そのさま。不遜。
(goo辞書より抜粋)

ゴルゴは結構傲慢だ。
傲慢という言い方は多少違うかもしれないが…ゴルゴは別に思い上がったりはしていないが、「横柄」と「人を見下して礼を欠くこと」は合っている。
何せ「(何故ターゲットを狙うのか)理由を聞かせろ」と言っておいて、「分かった、もういい!!用件を云え…」である。
大抵こういう場合は、依頼者側に余計な話が多いからなのだが。

第104話「スキャンダルの未払い金」。
依頼者である西ドイツの政治家ホルスト・マンハイムがゴルゴに亀についての薀蓄を垂れていると、
「そんなスコラ哲学を聞かせるために、スイス銀行のおれの口座に手付金3万ドルを振り込んだわけじゃないだろう…」
と初っ端っから手厳しく云い、依頼内容の説明をマンハイムの側近がしゃべりはじめると、
「もういい…依頼主が、直接話せないような仕事なら…なかったことにしてもらおう…」
と立ち去ろうとする。
マンハイムは「個人的な仕事をする人間は…自己の流儀に固執するものようのう…」と自ら依頼内容を話し出す。
が、マンハイムが世界の戦闘機の現状にについて長々と語り出すと、ゴルゴは明後日の方を見ている。
マンハイムが「き、聞いているのかねっきみ!?」と云うと、

「…具体的に話を進めてもらおう…
 まわりくどい老人の話に、おれは興味がない…」

である。
この一言でマンハイムは側近に「ゴルゴに残金を払う気はない」と云い、
「ゴルゴ13…わしは、ああいう男を許せん!
 あんな傲慢な男はがまんがならんのだ!
 わしがむかし地下運動で闘ったヒットラーでさえ、あれほど傲慢ではなかった!」
と言わしめた。
どうやらゴルゴは世紀の大悪人よりも傲慢らしい(苦笑)
しかしゴルゴもゴルゴだが、依頼を遂行してもらっておきながら残金を払おうとせず、あまつさえゴルゴを亡き者にしようとしたマンハイムも愚かだ。
その結果マンハイムは自身が投げた剣で孫が死んでしまい、自分も槍が刺さって死んでしまった。
(この時ゴルゴはマンハイムの攻撃を交わしていただけで、ゴルゴに殺されたわけではない。)
老人に対しての敬意とか労りが、全く皆無のゴルゴ。
ま、敬意に値する老人ではなかったので、仕方がない。

ところでちょっと話が逸れるが、ゴルゴは結構子供に優しい。
冷酷非情と云われている割には、マンハイムを殺そうとしていたところに孫のクルトが部屋に入ってきたので、殺すのを躊躇っているように見えた。
他の回にも何度か子供に対して、いつもと違うゴルゴを見せることがある。
とは云っても、小さな子供を射殺してしまう回もあるのだが…。
この辺りはまた「ゴルゴと子供編」で。



第225話「ソフホーズ」では、ゴルゴはCIAのシムズ作戦部長に罠にはめられ、アフリカのサバンナに置き去りにされてしまう。
行き倒れているところをハンティングに来ていた白人女性・メアリーに助けられ、一命を取り止めるのだが…。
メアリーの伴侶だか恋人だかの男・ロジャーにやきもちを妬かれ、
「元気になったんだからすぐにここから出て行ってもらおう!!」
と云われたゴルゴは一言、

「…命令されるのは、きらいなんだ…」

もう、私はこのセリフに腹を抱えて大爆笑であった(笑)
ゴルゴ本人は至って真面目に云ったと思うんだが、ゴルゴの性格がこの一言によく現れていると思う。
しかもこの後、嫉妬に狂うロジャーが殴りかかってきたので反撃してノックアウトするのだが、お茶を入れに行ってたメアリーが戻ってくると、ゴルゴが寝ていたベッドには失神したロジャーが横たわっており、ゴルゴは居なくなっていた。
どうせ出て行くのなら、無言で出て行けばいいのに…男に命令口調で云われたことが相当気に喰わなかったのだろうか。
勿論ロジャーが手を出してこなければ、ゴルゴは何もしなかったと思われる。

何にせよゴルゴは誰からの命令も受けない、孤高の狙撃手である。
誰も彼を縛ることはできないのだ。

だが相手がゴルゴに対して礼儀を忘れないのであれば、もしくはゴルゴ自身が尊敬できるような相手や恩人であれば、ゴルゴもそれなりの対応をしているので、尊重できるような相手とそうでない相手とでは態度を変えているのであろう。

あとは何話か失念してしまったのだが、イギリスでタクシーに乗り込み、すかさず愛用の葉巻・トレンドを吸うゴルゴ。
イギリスのタクシーは全車禁煙なので運転手が「お客さん!禁煙ですよ!」と云っても、何処吹く風。
そのままタクシーの中で、葉巻を吸い続けるゴルゴであった…。
ゴルゴは禁煙も喫煙も関係なく、自分が吸いたいときに吸うんである(苦笑)
そしていつもポイ捨て………これは頂けません。

やっぱりゴルゴは傲慢である。
自分勝手というか…。
まぁそうでなければ、あんな裏の世界で長年生きていけないのかも知れない。